奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 石川 拓治 (著)
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 石川 拓治 (著)
木村さんは子供の頃から何をみても分解してしまう生まれついてのエンジニア気質です。そんな彼が書店で棚から落ちてきた本がきっかけで、リンゴの無農薬栽培に取り組み、常軌を逸した9年間を送ることになります。
エンジニアは、結果には原因があるという考えます。そしてその原因にはより深い原因があり、そこにもまた原因があるというように考えます。結果に影響を及ぼす原因は複数あるのが普通ですが、複雑だと考えることができなくなるので、主な原因を一つか二つにしぼってしまうことが多いです。式で書くと
z=f(x,y)
となります。
工業製品であれば、これで何とかなることが多いですが自然は違いました。要素がやたらにたくさんあるだけでなく、それぞれがそれぞれの原因と結果になるような構造になっているのです。無農薬栽培を実現するための鍵はここにありました。要素を三つにして図にするとこんな感じでしょうか。
x
/ \
y - z
この営みを見極めるには、ひたすら観察しかありません。木村さんは芋虫を丸一日眺めるという日々を何年も送ったのになかなか気づくことができませんでした。
私たちの身体も「自然」であり、まったく同じことが言えます。頭が痛いから頭痛薬、肩が凝ったからマッサージ、花粉症だから抗ヒスタミン剤、血圧が高いから減塩、癌だから手術というように、z=f(x,y)で考えていては根本的な解決は難しいでしょう。 フェルデンクライスメソッドで、身体に意識をむけてじっと観察することは、奇跡のリンゴ作りに似ています。主体は自然が自ら為すものところにあって、人間はそれにちょっとだけ手を貸しているにすぎないのです。
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