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神舘 和典 (著), 白土 恭子 「上原ひろみ サマーレインの彼方」

by seko posted at 2005-11-19 22:17 last modified 2006-05-04 20:56

3時間ずっと泣いている。
悲しいからじゃない。

 

神舘 和典 (著), 白土 恭子  「上原ひろみ サマーレインの彼方

いつもの本屋に行くと、「息切れしても走り続けたい! 百年に1人。日本の音楽市場、初めてといわれる脅威の才能。」という帯が目に入る。最新アルバム「スパイラル」の宣伝も載っていた。
本を買って、レコード屋に行く。売り切れている。2軒目に行く。売り切れている。
4軒目でようやく手に入れる。
スタートボタンを押して2分後 涙が出てきた、それからずっと泣いている。
悲しいからじゃない。
本物に出会えたからだ。


2回目は本を読みながら聴く。
彼女の台詞のそこかしこで、涙があふれてくる。


上原ひろみ 26歳。ピアニスト

彼女は、自分の信条を尋ねられると、当然といった表情で「努力、根性、気合」と答える。

神の手を持つといわれるピアニストだ。

才能はただそこにあるだけでは意味は無い。磨き続けてこそ輝かしい成果への道が開けるのだ。

 

○苦悩のサナギ期間
彼女は音楽における停滞期間をサナギ期間とよんでいる。年に何回かそういう状態になるらしい。
そういう時は何を心がけるのか?
「いつもの倍 ピアノを弾きます」
答えは明瞭だった。音楽の問題は、音楽で解決するしかないのだ。
「ただ、サナギ期間は、それが長ければ長いほど、抜けたときにも大きなステップアップが待っています。だから、絶対に途中で投げ出したりしてはいけない。逃げてはいけない。音楽以外の気分転換なんかやっても、解決にはならないからです。正面から向き合います。いつもの倍 音楽のことを考えて、いつもの倍ピアノを演奏するほかにはないです。」


○蟹売りのエンターテナー
大学はあえて、普通の大学を選んだ。音楽だけをやるよりプラスになると思ったからだ。
来るべき米国行きに備えて、ラーメン屋と錦糸町の魚市場「魚寅」でバイトをする。
音楽を一分でも長くやるために、通学路にあるラーメン屋を選んだ。「魚寅」は時給がすごく高くて、はやくお金をためて米国の下見にいけるから選んだ。
彼女は蟹をうりまくった。
「蟹を売るのは、私、ほんとうにうまかったんですよ」
コツはあるの?
「コツはですね、必ずお客さん一人一人とコミュニケーションをとることです。笑顔で。そして、一杯買おうとしている人に言うんです。お客さん、実はこの蟹、こっちの蟹と兄弟なんですよね-・・・と。この兄弟が離れ離れになるか、同じ鍋に入るかは、お客次第!って」


○英語は横河電機で
横河電機は、一部上場の大手測定器メーカ。英会話教室はやっていない。それなのに上原はなぜここで英語の勉強をしていたのか」
「ピアノの練習を少しでも減らさずにすむように、ずっと通学路のどこかから徒歩一分以内にある英会話教室を探していたんです。でも、さすがにそこまで都合のいい教室はなかなかなくて・・・」
そんなときに、家の近くで、横河電機の社員のために英会話教室のビラを見つけた。
「横河電機まで出かけていって、アメリカへ留学したいという私の事情を正直に話してダメモトで頼んだら、入れてくれたんです。私の計画通り、通学路から一分以内でした。レッスン中はいつも3,4人でしたけど、最後まで私を横河電機の社員だと信じていた人もいると思います。月謝は普通の半額くらいでした。」

 

○17歳でチックコリアと即興演奏
ヤマハのスタジオで偶然チックコリアと出会う。何か一曲弾くようにうながされた上原は、オリジナルを演奏した。
「じゃあ、即興をしよう」
チックの提案で、そのスタジオにあった二台のピアノで一緒に演奏した。
そして、次の日に大手町の日経ホールで競演することになった。
二人は即興の掛け合いを繰り返す。やがて、「ヒロミ、ソロ!」というチックの合図でソロを弾きまくる上原。その後ろで、チックは、楽しそうにマラカスを振った。
上原の驚くべきところは、こういう場面でまったく物怖じしないことである。何しろ、彼女は17歳で、翌朝はいつものとおりバスに乗って学校へいく高校生だ。その高校生の後ろで、マラカスを振って踊っている外国人は、世界のチック・コリア。ちょっとありえない状況。
可能性を考えると奇跡としか思えないような事件だ。それでも上原は緊張しないのである。
「音楽をやることに限っていえば、私はただの一度もあがったことはありません。だから、いつどこで演奏することになっても、準備はできています。緊張の理由の多くは、多分十分な準備ができていないからなるのだと思います。それに私の場合、これから楽しいことが始まるというワクワク感で胸が一杯。嬉しさと好奇心で緊張どころではないんですよ。」


本には、彼女が小学校からこんなふうに生きてきたことが書かれている。
彼女には才能があった。それは間違いない。でも、どんな仕事でもここまでやれば、かなりのレベルには到達できる。


最後に、今年のフジロックフェスティバルの様子を。
時間割が決まっているフェスティバルでは、ふつうはアンコールは行わない。しかし、この日ばかりはそういうわけにはいかなかった。
感謝の気持ちをこめて、アンコールに選んだ曲は「サマーレイン」。
初めて聴いたときは、まぶたの裏に、サラサラと振り注ぐ夏の暖かく細かい雨が浮かんだ。
しかしこの日は違った。同じ曲なのに、暖かくとも、激しい、夏の雨だったのだ。
大粒の雨が強く地面をたたきつけるような演奏だ。観客への感謝とともに、今ある自分のエネルギーのすべてを苗場のステージに置いていくような演奏だ。演奏はどんどんテンポを上げていく。上原の激しいタッチ。右手が叩く高音は、まるで嵐のように会場に響く。この曲が終わったら上原の命は尽きてしまうのではないか。そう思えるほど激しい「サマーレイン」だ。
アンコールナンバーが終わったときには、ほとんどの観客も感極まっていた。上原はトニーとマーティンとともにステージに並んで、感謝と別れを告げる。その場に崩れ落ちる男の子。友達同士抱き合って泣きじゃくる女の子。演奏者と観客が完全に一つになっていた。
その二時間後、上原はすでに関越自動車道へ向かう山道を走るバスの中にいた。

翌日の同じ時間にはもう、彼女はニューヨークへ向かう機内にいる。旅から旅へ。世界中で演奏する暮らしへ、彼女はまた戻っていく。上原のファイトの日々はまだ始まったばかりなのだ。


 

5時間ずっと泣いている。
悲しいからじゃない。

本物に出会えたからだ。

神様、ありがとう。

 

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Re: 神舘 和典 (著), 白土 恭子 「上原ひろみ サマーレインの彼方」

Posted by しんQ at 2005-11-20 22:20
 上原ひろみ と言うピアニストの事を初めて知りました。尤も、私の知っているピアニストと言えば、中村ひろこ ぐらいですが。 このピアニストはジャズピアノらしいですが、大変な才能の人らしいですね。 セコさんの文章から思い入れの強さがほとばしるように感じられます。私も聞きたくなりました。本を読みたくなりました。
 体調はいかがですか。少しは戻ってきましたか。すこーし、セーブしてくださいね。

Re: 神舘 和典 (著), 白土 恭子 「上原ひろみ サマーレインの彼方」

Posted by seko at 2005-11-20 22:27
こんばんは。体調は木曜日に少し良くなってイのですが、また悪くなってそのまま停滞しています。
あまり本やPCには時間を使わないようにしたいと思います。

ここらの記事を読むと、ファーストアルバムから聞き始めるのがよさそうですね。
私も、明日の治療の帰りに探してみたいと思います。
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